この世で心底殺してやりたいと思ったのはたったの三人だ。
一人目は先に土の下に埋まっていた。二人目は灰になるまで焼いてやった。

「……あのひとが、お前を必要としているだろう」

パチン。
渇いた音を立てて散った火の粉が、俯く顔に影を刻む。
滲んだ汗。ようやく止まった手が無造作にそれらを拭うと、掠れた赤が頬を汚した。この行為の空々しさを一層曝け出すかの如く、妙に鮮やかで生温い、己の肉と血。
「ああ……」
燃え盛る炎が唸り声を上げて渦巻いている。例によって目の前の男が何事か叫んでいたが、そんなことはもう、どうでも良い。
息を吐くと、肺を灼いた熱と共に奇妙な衝動が込み上げ、喉を微かに震わせた。抑えきれない、腹の底から湧き上がる、この感覚。
「──なあ…、睡骨」
その日三人目を見つけた煉骨は、声を上げて笑った。
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