ざぶりと立ち上がると、彼は自身に纏わり付く髪を面倒そうに払いのける。
不揃いな毛先が重たげに揺れた。すると陽の光を浴びた水滴がきらきらと散って、無数の波紋を作り出す。
「なんだ?」
「ああ、その……」
不意に気まずさを覚え、睡骨はその半身から目を逸らした。言葉の代わりのように、傍らの木に引っかけられた着物を差し出す。蛮骨がそれを無造作に羽織る様子が、水面越しに揺らめいて見えた。
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